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海賊対処について

 総選挙後、民主党・社会民主党・国民新党の三党による連立協議が始まりました。個別の政策について、三党間で一致できるもの、そうでないものが様々取り沙汰されております。外交防衛政策、中でもソマリア沖の海賊対処では、各党間の隔たりが目立って来ました。
 民主党は第一義的には海上保安庁の所管であるが、同庁で対応できない場合は自衛隊を活用するとの立場です。社民党と国民新党は自衛隊派遣に反対の立場です。社民党はともかく、国民新党までもが反対とは驚きました。
 本日朝放送されたTBS情報番組「朝ズバ!」の中で、自見庄三郎同党副代表が反対の理由として、海賊は軍隊でもテロリストでもなく盗人集団であること、マラッカ海峡で出没する海賊は海上保安庁が対処している、かってプルトニウムを日本に輸送した時、海上保安庁で6000トンの巡視船を建造し対応したというものです。

 上述のプルトニウム搬送について補足しましょう。
 平成4年(1992年)、フランスから我が国に向けてプルトニウムを輸送するオペレーションが実施され、プルトニウム輸送船「あかつき丸」がシェルブール港を出航し、無事日本への海上輸送が成功しました。当時大きなニュースとして取り上げられておりましたので、ご記憶の方も多いかと思います。
 この頃私は松下政経塾を卒塾し、都内に在る某シンクタンクで、政府や企業の危機管理に関わる仕事についておりましたが、航行ルートは直前まで明らかにされませんでした。そして「あかつき丸」の護衛任務に就いたのが巡視船「しきしま」です。
 JCG PHL31 しきしま。海上保安庁が保有する世界最大級の巡視船で、総トン数7175トン、基準排水量6500トン、全長150メートル、全幅16.5メートル、速力25ノット以上、兵装は 35mm連装機関砲 2門及び20mm機関砲 2門、搭載する航空機はアエロスパシアルAS332L1ヘリコプター 2機となっており、海上自衛隊のイージス艦のこんごう型護衛艦に迫ります。

 話がマニアックな方向へ流れましたので軌道修正します。私は自見氏の見解には疑義を唱えたいと思います。
 そもそもマラッカ海峡とソマリア沖では、海賊の持つ兵器が違います。マラッカ海峡の海賊は主に自動小銃で武装しておりますが、ソマリア沖の海賊は対戦車ロケット砲RPG-7を持つなど重武装化し、いわば施設の軍隊のような状況です。
 公海上における犯罪取り締まり行為という意味で、日本の警察力である海上保安庁を第一義的にその任に当たらせることについては、旧政府・与党(自民・公明)も見解を同じくしております。よって派遣されている護衛艦に、海上保安官が乗船し、被疑者に対する逮捕及び取り調べを行うことになっております。但し警察力で対処できない場合には、我が国の事実上の軍事力である自衛隊を活用することはやむを得ないことであります。

 そもそもこの海賊対処法、実は最初に提案したのは民主党であることを、皆様ご存じでしょうか。
 昨年秋、給油法の是非を巡り当時の与野党間で様々な議論が在りました。その中で鳩山由紀夫幹事長(当時)は、給油法に代わる対案として、ソマリア沖に護衛艦を派遣し民間船への護衛任務に当たらせること、但しそれは民主党政権下で行うつもりであると表明しました。この民主党の考えを、麻生政権が真似をしただけであります。
 海賊対処法案について、与野党案の間にはほとんど違いが無く、要はシビリアンコントロールの観点から、自衛隊派遣に関する国会承諾を、事前承諾(民主案)とするか事後承諾(自公案)とするかの違いでありました。
 平和や人権は、ただお題目に様に唱えているだけでは守れないことを、北朝鮮のミサイル実験、日本人拉致事件、オウム真理教によるサリン事件などで日本人もよく身に染みて分かっているはずです。政権与党である以上、実態に即した外交防衛政策を推進しなければ、国民の安全も国の安全も、そして世界の安全も守ることはできないと思います。

<参照URL>
○海賊対処に関する民主党の考え方(談話) http://www.dpj.or.jp/news/?num=15809
○ソマリア沖・アデン湾における海賊対処のための活動(統合幕僚監部) http://www.mod.go.jp/jso/kaizokutaisyo.htm
○海上保安庁の海賊対策 http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/anti-piracy/

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