港区議会保健福祉常任委員会による行政視察として、広島に来ました。今日の視察先は、広島県緩和ケア支援センターです。
緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者さんとその家族に対して、疾患の早期よりの痛み、身体的問題、心理社会的問題、スピリチャルな問題に関してきちんとした評価を行い、それが障害とならないように予防したり対処したりすることであります(WHO 世界保健機構による定義より)。
もう少し分かり易く言えば、がん患者は、その症状だけでなくのほかに、痛みや倦怠感などの身体的症状、それに落ち込みや悲しみなどの精神的苦痛を経験します。そこで、がん治療の早期段階から、身体的・精神的な苦痛を和らげるために行う医療です。
緩和ケアには、自宅で行う在宅緩和ケアと、病院などの施設に入院して行う施設緩和ケアとがあります
平成19年にがん対策基本法が制定され、20年には都道府県がん対策推進計画が策定されております。港区でも、在宅緩和ケアのための体制整備を進めており、今回先進事例として、広島県緩和ケア支援センターを視察することとなりました。
広島県緩和ケア支援センターは、広島県立病院の中に併設されており、本家好文センター長(医師)と藤原薫同センター緩和ケア支援室長から説明を受けました。
広島県では平成8年から、「がんケアセンター」構想が検討されてきましたが、折しも財政難の影響を受け、12年にいったん断念、しかしその後検討が再開され、16年9月に広島県緩和ケア支援センターが開設されました。センターには、緩和ケアに関する情報提供、総合相談、専門研修、地域連携支援を行う緩和ケア支援センター、そして緩和ケアを希望する患者や家族のための相談、通院や在宅療養の支援、退院後の診療、病棟での治療を行う緩和ケア科が設置されております。
説明の後質疑応答の時間となりました。
「緩和ケアとは、本来生命を脅かす疾患に対処することが目的であり、ガンだけを指しているのではありませんが、なぜ日本ではがん対策、中でも施設整備に主眼が置かれているのでしょうか。」とお尋ねました。
これに対して本家センター長は、「昭和25年(1950年)当時は家族で看取るという考えが主でしたが、52年(1977年)になると、その考えが5割となり、今では自然死ではなく、点滴などの治療を施すことが当たり前の考えになっております。本来自然死であったものが否定され、点滴などの医療行為を受けることを希望する人が多くなり、国民性が変化して来ました。英国では地域で終末医療を支えておりますが、日本では医療が抱え込む状況になっています。」との答えでした。
「そうなりますと、医療機関においては、従来行われて来た治療とケアとが、車の両輪の様な関係になるわけですか。」
「そのとおりです。」
さらに「このセンターが中心となり、広島県内における地域連携支援事業を進めているとのことでした。センターがアドバイザーの派遣やモデル事業など、各地区の拠点病院への支援を行い、そして拠点病院が地域における緩和ケアのネットワーク化を進めているとのことでした。実際に現場にまで目が届くのでしょうか。」と質問しました。
これに対して、藤原支援室長は、「確かに難しいのですが、拠点病院を通じて地域ネットワークを形成して行きます。一緒にやって行きます。」との答えでした。
質疑応答の後、藤原室長のご案内で、施設内を見学致しました。病室、家族室、ラウンジ、図書室などを順に周りました。
保健福祉常任委員にこの春就任し、これまで経験の無い初めての分野でしたが、今日の視察を通じて、緩和ケアに対する自分自身の関心の高まり、何かをしなければならないという使命感のようなものを感じました。
実は保健福祉員になる前に不思議な縁で、本年第一回定例会における予算特別委員会において、緩和ケアについて私は質疑を行いました。その時の様子を、以下記載致します。
平成22年3月10日 平成22年度予算特別委員会(第5日目)
◯委員(山本閉留巳君) それでは、衛生費についてお尋ねいたします。
質問の1番、がん対策における在宅緩和ケアについてお尋ねします。
国の第11回がん対策推進協議会が、区内にございます三田共用会議所で開催されております。このがん対策は、国政のレベルでも、地方政治においても重要な政策課題ではないのかなと考えております。
さて、項の1保健衛生費の中の目の1保健衛生総務費において、がん対策の推進、これは在宅緩和ケア支援でございますが、1,693万円ということで、前年度比55%という金額が計上されております。この平成22年度における事業内容と、今回、減額に至った経緯についてお尋ねいたします。
◯健康推進課長(北村淳子君) 区民参加による在宅緩和ケア・ホスピスケア支援推進協議会の開催、在宅療養を支援するための容態急変時病床確保事業、相談事業、区民への情報提供や普及啓発のための講演会などの開催、パンフレット作成、また、関係職種の研修などを計画しております。
平成22年度予算の減額の理由ですが、容態急変時の病床確保事業について、平成21年度の実績を検証し2床から1床に減らしたこと、また、医療機関での相談事業につきましては、区内にある3カ所の東京都のがん認定医療機関での相談事業が整備されたことにより、3カ所を1カ所に減らしたことによるものでございいます。
◯委員(山本閉留巳君) わかりました。この状況については、私もまたもう少し調べて見ていきたいと思っております。
続きまして、質問の2番、がん対策の推進ついてお尋ねいたします。
同じく、この保健衛生費の中の目3予防費におきまして、がん対策の推進として、8億960万9,000円ということで、前年度比95%という金額が計上されております。この検診ということについては、全国各自治体でもさまざまな取り組み、事業を行っているものと思いますが、港区の場合はほかの自治体にはない特色もあると聞いております。この事業の内容について、平成22年度の事業の内容について、お尋ねいたします。
◯健康推進課長(北村淳子君) 区では、胃、大腸、肺、子宮がん、乳がんなどのがん検診はもとより、前立腺がん、喉頭がんなどの検診についても、国の指針にないようなものでも実施しています。こういったものは実施している自治体が少ない中で、区としては実施しております。
また、乳がん、子宮がんの検診は2年に1度の受診が推奨されておりますが、区では毎年受診が可能であり、また他の自治体と比較して充実しております。
がん検診については、申し込み制が多い中、区は40歳以上の全区民に受診券を個別に自動発送しており、費用につきましてはすべて無料となっております。
広島での視察終了後、一同神戸に向かいました。明日兵庫県川西市で視察を行います。
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