間もなくバラク・オバマ米国新大統領就任式が挙行されます。この機会に日米同盟の在り方について考えてみたいと思います。
最近私が読んでいる本が、重村智計早稲田大学教授の「「今の韓国・北朝鮮」がわかる本」です(写真)。
重村氏の著書、「今の韓国・北朝鮮」がわかる本。後方は控室の私のデスク。かかっているポスターは、昨年北朝鮮人権週間の際に作成された政府拉致問題対策本部のポスター。
重村氏は元毎日新聞記者で、最近は朝鮮半島に関するコメンテーターとしてテレビにも出演しております。小泉元首相が初めて北朝鮮に訪朝した2002年9月17日の直前、東京財団(港区虎ノ門)で開催されたシンポジウムで、初めてお目にかかる機会を得ました。
対北朝鮮外交において、忘れられている事の一つが日米同盟の役割と強化である、と重村氏は語ります(もう一つは、日本が主権侵害を主張しなかった事)。同盟の成立と維持には、「共通の敵」と「共通の価値観」が必要であり、冷戦崩壊後、日米は核開発に邁進する北朝鮮を「共通の敵」とし、民主主義と人権の拡大を「共通の価値観」としてきました。
しかし日本側には、核開発問題が解決していない中で、「共通の敵」であるはずの北朝鮮と国交正常化を行えば同盟が崩壊するという認識に欠けていました。従ってブッシュ政権は正常化に反対しました。
さらに拉致問題は人権問題であるにも関わらず、「共通の価値観」として日米共通のアジェンダに掲げていれば、日本国民は日米同盟が機能していることを実感したはずです。ブッシュ大統領が横田めぐみさんの母親や弟と面会した事実は、日本国民に日米同盟の存在と機能を認識させました。
こうなると小泉元首相は、世間での大方の評価とは別に、実は日米同盟を危機に直面させた人物ということになります。実はもう一人日米同盟を危機に直面させた人物がアメリカ側にいました。クリストファー・ヒル国務次官補(日本の省庁では局長級)です。
ヒル氏は2007年初め、日本政府高官に対し「北朝鮮へのテロ支援国家指定を解除しない」と約束したにも拘らず、その後の六ヶ国協議で北朝鮮側に「テロ支援国家解除は可能」と伝えました。重村氏はこれを「二枚舌おじさん」と評しております。さらにこの後、ライス国務長官も、「北朝鮮へのテロ支援国家指定解除は、アメリカ国内の法手続きに従って行う」と発言しました。
国務長官も次官補も、テロ支援国家指定解除により、日米同盟が危機に直面するという認識も、拉致問題は人権問題であるとの認識も、そして日米同盟共通の課題として扱われるべきとの認識も無かったわけです。
以上が重村氏の著書からの抜粋です。その後の状況については、皆さんもご存じのとおりです。昨年10月11日、アメリカは北朝鮮へのテロ支援国家指定解除を発表しました。日本政府はこれを事実上黙認しました。少なくても外交でよく使われる「遺憾の意」を表わすべきでした。日本国民のアメリカに対する信頼が急速に冷めつつある印象です(今月15日ブログ記事参照)。
さらに今月17日、6カ国協議で北朝鮮が申告しているプルトニウムのうち30.8キロ分について、北朝鮮当局者が「既に武器化しており、検証することはできない」との見解を示したとの報道が流れました。終焉間近なブッシュ政権の足元が見られた格好です。
今年は総選挙が行われる年です。現政権も、そして政権交代後の民主党政権も、日米同盟の根幹要素である「共通の敵」と「共通の価値観」を見失いで頂きたい。そして何よりも我が国民が、未だ国家監禁に遭っている事実を、よくよく認識してもらいたいと思います。
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